歯周病専門医 Dr.宮本の歯周病講座 その2
歯周ポケットの中で何がおこっているのか?

歯周病は歯周ポケットの中にすむ細菌による20080102220853_2.gif感染症です。ただし、風邪のように細菌やウイルスに感染してたちまち症状が出る感染症とは異なります。
慢性の感染症です。

歯周ポケットは歯と歯ぐきの継ぎ目に「くぼみ」あるいは「みぞ」として存在しています。口の中という元々細菌が多量にある場所、しかもくぼみやみぞは掃除が大変難しい場所ですので、どうしてもある程度の数の細菌がすみついてしまいます。
細菌が住んでいる場所では、当然人間の身体も自らを守るために必死にがんばっています。数多くの
生体防御細胞と呼ばれる細胞が歯周ポケットの歯肉に集まって細菌がはいってくるのを防いでいます。

歯周ポケットは常に細菌の侵入がおこりかねない人間の身体の中でも最も弱い継ぎ目の組織です。その組織の中では細菌と生体との戦いが常に起こっているのです
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 細菌の感染が生体の防御に対して勝ってしまうと歯周病が発症してしまいます。

20080102220853_1.gif発症までの流れを生体の反応で見てみましょう。
(歯周病ってなあーに?中川政
嗣著 岡山大学歯学部歯科保存学第2講座同門会発行を参考とさせていただきました)

プラークが歯周ポケットにたまります。歯周ポケットの中では細菌が住み始めその数を増やしていきます。大量の細菌が代謝物を出します。

これが口臭の原因となります。


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大量の細菌や細菌が出す毒素によって歯肉の上皮細胞(歯肉粘膜の表層の細胞)は脆くなり一部は壊れてしまいます。

歯ぐきから出血しやすい状態になります。




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細菌に対抗するためには生体防御細胞を歯周ポケットに送り込む必要があります。そのため歯肉の血管が太くなり、血管からは多量の細胞が出ていきます。

これにより歯ぐきが赤く腫れます





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生体防御細胞のうちのひとつ好中球が活性化され、歯周ポケットに出ていきます。細菌を退治して役目を終えた好中球は自らを壊して膿(ウミ)となります。

歯ぐきから膿が出ます





「歯ぐきから出血する」や「歯ぐきが赤く腫れる」は歯周病のごく初期症状とされています。しかし、こういった初期の状態でも歯周ポケットの中では細菌と人体の壮絶な戦いが常に繰り広げられているのです。
生体の頑張りを助けてやるためにもブラッシングによって細菌の数を少しでも減らしてやる必要があります。

 
歯周病専門医 Dr.宮本の歯周病講座 その1

20071018200707.gif 歯周病ってどんな病気?
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歯周病は、歯の周りの組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨)が細菌に
感染して起きた炎症によって破壊されていく病気です。
そもそも炎症が原因で骨が溶ける病気は人間の体の中でもめったに起こることはありません。大変特殊な病気です。

しかし、歯周病の有病率(病気になっている割合)は大変高く、現代社会では程度の差はあれ大人のほとんどの方が歯周病にかかっています。ギネスブックにも世界で最も多くの人がかかっている病気として登録されています!

歯と歯肉の境目にある溝は歯周ポケットと呼ばれますが、歯周ポケットには大変な数の細菌が棲んでします。一方歯周ポケットには歯という硬い組織と歯肉という軟らかい組織の継ぎ目があります。この継ぎ目は人間の身体でも最も弱い組織なのです。
つまり、歯周ポケットは大変もろい組織なのに大量の細菌が棲んでいるために、多くの方が歯周病にかかっていしまうのです。
宮本歯科・矯正歯科ではほとんどの成人の患者様に歯周病の検査をおすすめしています。


20071018200707.gif 歯周病の進行度と治療について

数多くの歯周病患者様を治療してきた私の持論は「歯周病の最大の治療は歯周病にかからないこと」です。
といってもなにしろ8割以上の成人の方がかかっている病気ですので、不幸にもかかってしまった歯周病はなるべく進行させないことが肝です

治療方法はその進行度によって大きく異なります。歯周病は虫歯の様な痛みのようなはっきりとした症状が出にくく、自覚症状が出る頃には手遅れの場合が多いため、自然と困難な治療が多くなってしまいます。
宮本歯科・矯正歯科では歯周病の進行度を正確にお伝えすることを大切にしています。

軽度の歯周病
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炎症が歯肉に限られている状態です。歯垢(プラーク)はバイオフィルムと呼ばれる強固に歯の表面にくっつく膜となっています。(毎日掃除していてもお台所のシンクのスミにつく「ぬめり汚れ」を想像してください)
バイオフィルムや歯石は歯科医院で専用の器具によって除去します。
正しいブラッシングと生活習慣の改善によりほとんどが治癒します。



中等度の歯周病
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炎症がやや進み、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)が深くなった状態です。徹底したブラッシングとともに、歯科医院での歯石の除去(スケーリング)や歯根をツルツルにしたり(ルートプレーニング)、深い歯周ポケット内の清掃によるバイオフィルムの除去を行います。
歯石の除去と簡単に言いますが、深い歯周ポケット内の歯石の除去は多くの時間と熟練した技術を要します。まさに歯科衛生士の腕の見せどころです。治療による清掃は歯の表面にしか行いませんので、歯ぐきは原因物質を除いたあと人間の持つ治癒力で治っていきます。そのため治療の成果はしばらく時間をおかなければわかりません。


高度の歯周病
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さらに進んだ歯周病により歯が動いている状態です。
不幸にしてこの状態まで放置されてしまった場合・・・治療は飛躍的に困難になってきます。
抜歯という選択肢も仕方ない場合があります。
治療のためには歯周病を専門に治療されている、あるいは得意にされている歯科医院を受診することをお勧めします。
抗生物質による化学療法、外科手術、咬み合わせの調整や歯を連結する咬合療法、生活習慣の改善など総合的な治療が必要です。

                                                       歯周病治療のキーポイントはこちら


 
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